第二章 剣の継承者
◆◆◆ エトルリアについて ◆◆◆
エトルリアは、紀元前8世紀頃からイタリアのトスカーナ(「エトルリア人の土地」という意味)地方で栄えた都市国家群のことで、12都市連盟を結成し、祭事や軍事でのゆるやかな協力関係にあったといわれますが、統一国家を築くことなく、歴史の舞台から消えていきました。この物語の時代のローマは、3代にわたってエトルリア人の王が支配する弱小の都市国家で、12都市連盟には加盟していなかったのですが、交易や軍事の面での交流があったと推察されています。
エトルリア人は、海を往来する海洋民族で、古代地中海世界では、多くの場所にその足跡を残しています。ローマを流れるティベレ川の河口には、オスティアという港があり、この時代のローマの貿易港として栄えていました。ちなみに、現在イタリアの文化遺産として残っているオスティアの遺跡群は、主に後の帝政時代に造られたものです。
エトルリア人の起源については諸説あり、いまだにはっきりしたことがわかっていません。本編では、小アジアのリディア由来説を採用しています。
◆◆◆ 新規登場人物紹介 ◆◆◆
●ヴェレス・キプロス Jr.
シチリア島シラクサの貿易商人ヴェレス・キプロスの養子。
養父の死後、跡を継ぎ貿易商として活動している。
本名 ティテュオス・メルクリウス
●タラオス
ルクルスが保護した難民の子ども。
●アンネイア
エレトゥリアの侍女
ヴェレスの養父の姪。
●ラムネス
キプロス商船の乗組員
ヴェレスの相談役と情報収集の役割を努めている。
●オレアデス
キプロス商船の乗組員
●ドグ
キプロス商船の乗組員
ヴェレスの養父の代からの乗員で医者。
●ガイウス
キプロス商船の乗組員
かつてアルントゥスに仕えていた。
●ナーウィウス
ヴェレスが所有しているシラクサの屋敷の管理責任者。 シラクサでの商取引のマネジメントをしている。
●ホラティウス
シラクサの商人アエアネウスに仕えているシラクサ市民